L-シトルリン

L-シトルリンは、タンパク質の構成に寄与しないアミノ酸の一種で、遊離型アミノ酸として存在する。L-シトルリンは、生体では有害なアンモニアを尿素に変換する尿素回路を構成する物質の一つである。1980年代に、L-シトルリンの摂取によるL-アルギニンを介した一酸化窒素(NO)産生に関する知見が見出された。L-シトルリン (mg/100g) は、スイカ(180)、ヘチマ(57)、メロン(50)、冬瓜(18)、および、キュウリ(9.6)などの食品に含まれることが報告(林, 化学と生物46 (2008))されている。近年、生理活性を目的としてサプリメントなどに用いられており、疲労回復(Bendahan et al., Br J Sports Med. 36 (2002))、運動パフォーマンスの向上(Perez-Guisado et al., J Strength Cond Res. 24 (2010))、および、むくみの解消(森田ら. 薬理と治療 40 (2012))などが報告されている。

L-シトルリンの安全性に関する以下の報告がある。非臨床試験では、ラットにL-シトルリンを2,000 mg/kg/日の用量で6週間の反復投与による毒性試験が実施された。本試験の結果から、L-シトルリン2,000 mg/kg/日の投与量で有害事象は観察されないことが報告(Morita et al., Fund Toxico. Pharm. 67 (2017))されている。ヒトでの安全性に関わる試験では、健康な成人8名にL-シトルリン2、5、10、および、15 g/日の投与量における単回投与試験が実施された。本試験の結果から、L-シトルリン15g/日までの投与量で有害事象は観察されないことが報告 (Moinard et al., Brit. J. Nutri.99 (2008))されている。また、健康な成人男性17名にL-シトルリンを、6g/日の投与量で4週間の反復投与試験が実施された。本試験の結果から、L-シトルリン6g/日の投与量で有害事象は観察されないことが報告(Figueroa et al., Amer. J. Hyper.23 (2009))されている。

・経口シトルリンは、健康なヒトのボランティアにおける全身タンパク質代謝に影響を及ぼさない:プロスペクティブ二重盲検ランダム化交差試験の結果

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